🟥「減らせ、突然死」AED推進フォーラム2025に参加して
先日、公益財団法人日本AED財団主催
「減らせ、突然死」AED推進フォーラム2025に参加してきました。
会場は、東京都千代田区にある一橋講堂。
年に一度、AEDによる救命の「今」と「これから」を考える、大切なフォーラムです。
🟦 AEDは、特別な人だけのものじゃない
AED(自動体外式除細動器)は、
心臓が突然けいれんし、止まってしまう「心停止」のときに
命を救うための機器です。
日本では約21年前から、一般市民でも使用できるようになり、
今では学校・体育館・公共施設など、身近な場所に設置されています。
今回のフォーラムのテーマは
『AEDで命を救える社会の「仕組み」づくり』
「設置されている」だけでなく、
👉 “使われるAED”をどう増やすか
その重要性が、強く伝わってくる内容でした。
🟩 高円宮妃久子殿下のお言葉に背中を押されて
冒頭では、名誉総裁の高円宮妃久子殿下からのお言葉がありました。
特に印象に残ったのは、この言葉です。
「まず呼ぼう、AED」
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医療関係者でなくても
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AEDを使ったことがなくても
👉 とにかく行動することが大事
突然、目の前で誰かが倒れたとき、
誰でもパニックになります。
だからこそ、落ち着いて動くためのトレーニングが必要だとお話しされていました。
妃殿下は、海外で体調を崩した方に遭遇したご経験を紹介され、
「私の出る幕ではない」と思わずに、行動することの大切さを語られていました。
もし助かっていなかったら、きっと後悔していた。
1分1秒が命を左右する場面で、
迷わず動ける人を増やしたい。
そのために、自分の背中を押す
「行動のスイッチ」を持っておくことが大切
強く心に残るお言葉でした。
🟦 実体験が語る「日ごろの準備」の力
続くプログラムでは、
「自分たちの日ごろの準備が役立った!」をテーマに、
実際にAEDで救命につながった事例が紹介されました。
▶ とっさに動けた理由は「講習」
元プロサッカー選手の中村俊輔さんは、
観客席で倒れた方を見て、
「医師の方より、自分の方が足が速い」
と判断し、とっさにAEDを持って走ったそうです。
これは、
正しい知識と講習を受けていたからこそできた行動。
講習の重要性を、何度も強調されていました。
▶ AEDが貼られていても、動く人がいない現場
横浜市消防団の小池さんは、
すでに倒れた人にAEDが貼られていた現場で、
周囲の人がただ立ち尽くしている状況に遭遇。
すぐに心臓マッサージを行い、救急隊へ引き継いだ結果、
数か月後、その方が社会復帰されたと聞いたそうです。
その時の喜びが、胸に迫りました。
▶ 「一生に一度あるかも」が、本当に起きた
会社経営者の山口さんは、
ランニングイベント中に心肺停止となり、AEDで助けられた経験から
講習を受け、インストラクターになられました。
「一生に一度くらいは遭遇するかも」
そう思っていたところ、
本当に救命現場に立ち会うことになったそうです。
備えは、決して無駄にならない
そう実感するお話でした。
🟩 仕組みで救う命もある
▶ 大阪・関西万博会場の取り組み
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150m以内にAEDを配置
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アプリ「AED GO」を活用したネットワーク構築
スタッフと一般の方(バイスタンダー)の連携で、
実際に救命につながりました。
▶ 京都大学の取り組み
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毎年、新入生約3,000人にAED講習
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4年間で25人に1人が救急現場に遭遇という調査結果
AEDマップの整備や、学内事例の共有など、
「自分ごと」にしてもらう工夫が続けられています。
▶ ドラッグストア・ウェルシアの取り組み
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全店舗レジ横にAED設置
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従業員が講習を受講
最近では、店舗敷地外への貸し出しも増え、
「ウェルシアにAEDがある」
という認識が地域に広がっているそうです。
🟦 海外から学ぶ:シンガポールの国策AED
シンガポールでは、AEDは国策。
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小中学校で必修授業
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教師・スポーツコーチも受講必須
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スポーツクラブ、宗教施設、外国人労働者の現場まで徹底
「知っていて当たり前」の環境づくり
日本との大きな違いを感じました。
🟩 パネルディスカッションで見えた課題
テーマは
「街中におけるAEDアクセスの改善」
街中では、
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居合わせた人は“組織”ではない
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経験がなく、当事者意識を持ちにくい
だからこそ、
✔ 正しい知識
✔ 当事者意識
✔ アプリなどの仕組み
が重要だと話し合われました。
スポーツ現場では
「審判の判断を待たなければいけない」
「勝手に動けない」という思い込みも課題。
とっさに動けるルールと規範づくりの必要性が語られました。
🟥 功労賞に見る、広がるアイディア
最後は功労賞の授与式。
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特別賞:ミキサー車すべてにAEDを搭載し、「走るAED」活動を始めた企業
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優秀賞:ライブを通じて若い世代にAED普及活動を行うビジュアル系バンド「REIREI」
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最優秀賞:親子で体験できるおもちゃAED「トイこころ」
どれも、
「まだ知らない人にどう届けるか」
「子どもにも身近にするには?」
という視点が光る、素晴らしい取り組みでした。
🟦 AEDを「知る」から「使える」社会へ
AEDは、
知った人から、使った人から
少しずつ、確実に広がっていくものだと思います。
このフォーラムに参加して、
「私にもできることがある」
そう思える人が、ひとりでも増えたら。
それこそが、
突然死を減らす一歩なのだと感じました。
※公益財団法人日本AED財団のさまざまな取り組みは、YouTubeチャンネルやInstagramでご覧ください




